TORITENトリテン

試合レポート

枠内シュート率の低さが課題。もっと効果的なビルドアップを

 

ビルドアップに果敢にトライしたチーム。フィニッシュの形まで構築できた回数は少なく、セットプレーのチャンスは得たが仕留めることが出来なかった。

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立ち上がりは互いにチャンスを築いたが…

岡山は佐野航大の移籍後の形を確立したい試合。高木駿が抜けた大分は、西川幸之介を組み込んでのビルドアップにトライした試合。キックオフ直後から互いにゴールを目指す勢いを感じさせ、2分には岡山が、チアゴ・アウベスからのパスを受けた仙波大志のミドルでオープニングシュート。大分も高畑奎汰が鋭いインターセプトを2度見せたが、その先がつながらず。3分には第17節の長崎戦以来の先発となった町田也真人が推進力を発揮しようとして、岡山の守備陣に潰された。
 
長沢駿が岡山のアンカー輪笠祐士へのパスコースを切りながら、前線から緻密に守備。その長沢をターゲットに攻めたい意図は見えるのだが、しっかりと球際で潰しにくる岡山の守備陣は屈強で、鮎川峻との連係も断たれてしまう。だが、12分に決定機。デルラン、野村直輝と縦にボールを送り、抜け出した高畑が相手を剥がしてクロス。大外から松尾勇佑が詰めたが、わずかに先に相手に触られた。こぼれ球に反応した長沢のシュートも相手に当たって枠外へ。それで得た左CKの流れから野村のクロスに長沢が頭で合わせ、これもディフレクションあって枠を外れた。
 
チアゴ・アウベスが背後を狙う動きを繰り返す岡山は17分にいい形を作る。末吉塁のクロスにチアゴが飛び込んだがわずかにオフサイドだった。19分には仙波が2本目のミドルシュートも枠の右へと外れた。

 

裏抜けを狙われ徐々に押し下げられる

岡山に背後を執拗に狙われ、徐々に大分のディフェンスラインが押し下げられた。羽田健人は「だんだんチアゴが慣れてきて、上手く走りはじめた」とラインコントロールの難しさを試合後に振り返った。布陣にスペースが生じ、相手にエリア内まで進入される場面が増える。
 
38分にはチアゴのヒールパスを受けた坂本一彩がゴール前に攻め込みシュート。至近距離で西川が体を張って対応した。39分には押し込まれた状態から高橋諒のパスを受けたチアゴにシュートを許し、枠上へ。41分にはあわや失点かというシーン。田部井涼のグラウンダークロスに飛び込んだ仙波にネットを揺らされる。これもオフサイドで命拾いしたが、ボールウォッチャーになっていた危ない守備だった。42分には末吉にクロスを入れられ、保田堅心がクリアしてことなきを得たが、押し下げられた状態で左右からクロスを入れられる時間帯が続いた。

 

仕留めきれないうちにセットプレーから失点

なんとかしのぎ切って0-0で折り返すと、後半は高畑が前へ出る回数を増やし、立て続けにセットプレーを獲得する。48分、左CKのチャンス。高畑が蹴り長沢が頭で狙ったが、枠上へと飛んだ。51分には野村の右CKからまたも長沢。これも枠上へ。
 
逆に52分には高橋からのスルーパスに抜け出した田部井のクロスから坂本のシュートを浴びる。デルランが体を投げ出してブロックし、西川が押さえた。危ないシーンだったが、54分にも右サイドの裏を突かれる。高橋のクロスをクリアしきれずゴール前で坂本に収められると切り返してのシュートを許し、西川が飛び出してなんとか防いだ。
 
だが、57分に失点。前線へと送ったボールを柳育崇にインターセプトされたところから右に展開される。末吉には野村が対応したが、この流れで与えた田部井の右CKを柳が折り返し、鈴木喜丈に沈められて先制を許した。

 

互いにインテンシティー高める采配合戦

下平隆宏監督はただちに動く。58分、長沢をサムエル、町田を渡邉新太に2枚替え。ペレイラも高い位置を取るようになり、追撃態勢を整えた。63分、野村も絡んだ右サイドのいい崩しから松尾のクロスに渡邉が飛び込んだが、枠を捉えることは出来なかった。63分には野村のパスを受けた渡邉のミドルシュートで右CKを獲得。だが、ここでもセットプレーのチャンスをものに出来ない。
 
大分がチャンスを増やしたと見て、木山隆之監督も65分、坂本に代えてルカオを投入。フィジカルモンスターで大分の守備陣を圧倒しにかかった。66分には羽田がルカオに吹っ飛ばされチアゴがシュートを放つが、西川が正面でキャッチした。
 
70分には松尾を藤本一輝、鮎川を伊佐耕平に代え、2トップに変更してなおも前への矢印を高めたい大分。伊佐のしつこい切り替えなどで好機を築き、72分には藤本が抜け出してマイナスに折り返す形も作ったが、相手にクリアされた。その右CKの流れからの藤本のシュートも相手がブロック。なかなかこじ開けることが出来ない。

 

最後まであきらめなかった猛追も実らず

74分、岡山は仙波とチアゴをステファン・ムークと木村太哉にチェンジする。2分後、勢いよくゴールへと向かう木村をエリアのぎりぎり外でペレイラが倒してゴールほぼ正面でFK献上。ペレイラにイエローカードが提示され、ペレイラは次節出場停止となる。田部井のキックは壁に当たり、こぼれ球に反応した高橋のシュートはわずかに左に外れた。
 
81分にはカウンター対応のミスから木村にゴール前まで持ち込まれ、羽田が懸命に送らせて保田が体を投げ出してブロックする。83分。大分はペレイラに代えて上夷克典を投入。84分には岡山が田部井と高橋をヨルディ・バイスと高木友也に代え、最終盤に差し掛かったゲームは強度を増した。
 
猛追する大分と、ゴール前を固めつつルカオで追加点を狙う岡山。90分にはルカオがボールを収めシュートを放ったが西川が正面でキャッチした。アディショナルタイムは5分。だが、藤本のシュートもブロックされ高畑の左CKも実らず。前半はシュート1本に抑えられ、後半は8本を放ったが、いい体勢で打てたものは少なく、枠内率は低かった。
 
前節からの高木移籍の流れの中で今節、ビルドアップにトライしたことは指揮官もかろうじて「よかった」と評価したが、実際にはビルドアップによりアタッキングサードで優位な形を作り出すことはあまり出来たとは言えなかった。10本のCKでも得点できず、今節は守備陣が粘っていただけに得点力不足が残念な結果を招いた。2位・磐田が勝利したため自動昇格圏とは勝点8差となり、下位は迫ってきている。