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試合レポート

也真人、渾身の同点弾。息詰まる立ち位置の取り合いから決死の追撃実らせ+1

 

勝点2差で残留争いしている同士の対戦は、予想どおり堅いゲームとなった。互いに相手をスカウティングして準備した立ち位置で優位性を競い、70分に先制したのは徳島。その10分後、決死の追撃から大分が追いついてのドロー。この結果がのちにどう響くか。

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今節は4バックの相手に中から攻める選択

陽射しの強い時間帯は暑ささえ感じるほどだったが、キックオフ直前あたりから急激に冷え込んだ。冷たい空っ風が強く吹き、その影響必至と見られる気象条件。高木駿キャプテンは事前に監督たちと相談し、準備しているゲームプランに則ってまずは相手に押し込まれ失点しないように、コイントスで勝ったら風上を取ろうと決めてチームメイトにもそれを伝えてあった。
 
高木がコイントスに勝利して、目論見どおりエンドを入れ替えてのスタート。4-4-2システムをベースとする徳島だが、攻撃時にボランチが縦関係となり岩尾憲がアンカー状態に。右SHと見られていた宮代大聖がインサイドに入って藤田譲瑠チマとシャドーのようなポジションを取っており、片野坂知宏監督は「4-1-4-1になっていたのではないか」と読み取った。ダニエル・ポヤトス監督は試合後に「ルヴァンカップで対戦したときかなり前から来られたので、ファーストプレッシャーをいかに外していくかというところで、そのプレッシャーの後ろに人を置きたかった」とその意図を明かした。
 
第28節の湘南戦以後、4-4-2の相手に対してサイドで数的優位を作り好機を増やしていた大分だが、この試合の立ち上がりは相手がそれに対策してくるのをわかっていたように、両WBが低い位置を取って相手のサイドに攻めさせた。アンカーの岩尾の脇のスペースを巧みに使って渡邉新太と町田也真人がよくボールを受け、そこからサイドに振って好機を狙うが、徳島も球際強く潰しに来る。
 
立ち上がりに岸本武流のクロスに対応した下田北斗の足に当たったボールがあわやオウンゴールとなるのを高木が急遽防いだ場面はあったが、その後は立ち位置で先手を取る大分がペースを握ったようだった。12分には下田のクサビを渡邉がつなぎ伊佐耕平が意表を突くシュート。しっかり枠を捉えていたが、古巣戦に燃える上福元直人に掻き出された。そこから立て続けのCKではエンリケ・十レヴィザンと伊佐が決定機を迎えるが、いずれも枠の右。

 

修正した徳島にペースを握られる

ただ、徳島もすぐに修正を施す。飲水タイム明けの27分には岩尾が右サイドに開いた垣田裕暉に展開し、中から追い越した宮代が戻して岸本がクロス。ムシャガ・バケンガと刀根亮輔の競ったこぼれ球を西谷和希がゴール前に送ろうとして小出悠太の寄せにディフレクションしたところへ垣田が飛び込んだが合わせきれず右CKとなった。キッカーの岩尾は密集の後ろにいた宮代を狙う。宮代のグラウンダーのミドルは高木が防ぎ、混戦の中でエンリケと小出が掻き出してしのぐと、最後は伊佐がヘディングで外に出してピンチをしのいだ。
 
以後はじわりと徳島ペースに。33分には高木のフィードを伊佐が落としセカンドを拾った渡邉が自らシュートにまで持ち込んだが、渡邉が拾った時点でオフサイド。逆に36分には右CKの流れから最後は垣田にヘディングされるが高木が阻んだ。
 
風上に立っていた前半のうちに得点したかったがならず、それでもプランどおり、無失点で試合を折り返すことは出来た。後半から徳島は石井秀典を福岡将太へと交代。前節、少し脳震盪気味だった石井を休ませたのか、あるいは福岡に代えて攻撃色を強めたか。大分が風下に回った後半、心なしか風が強まったように感じた。
 
50分、ロングフィードに抜け出した垣田のマイナスの折り返しに走り込んできた宮代がミドルシュート。下田も必死で寄せたが間に合わず、鋭い弾道は枠を目指したが、横っ跳びした高木がファインセーブした。

 

新たな可能性を見せた“ブラジリアン2バック”

両軍ともに相手に絶対にやらせないとばかりに球際も激しく、前半から複数枚のイエローカードが提示される展開。互いにセットプレーを含め好機はありながら、両守護神の集中した仕事にも助けられ、スコアレスの緊迫した時間が続いた。
 
徳島ペースの中、逆風の大分は62分に3枚替えで勝負に出る。渡邉を野村直輝、刀根を井上健太、伊佐を呉屋大翔。小出を最終ラインに下げて右WBに井上を入れ、そのスピードによる突破に期待をかけた。野村と呉屋の元徳島コンビも、縦に速い攻撃を狙いに行く。
 
だが、70分に先制点を奪われた。バケンガのミドルシュートを高木が掻き出してからの右CKからの流れ。カカのヘディングシュートは高木がクリアしたのだが、それが運悪く逆サイドにフリーでいた宮代の足下へ。ショートバウンドの軌道を高い技術で捉えた宮代の右足一閃は、ついにゴールネットを揺らした。
 
J1残留のために、勝点3が欲しい試合。片野坂監督はすぐに動き、73分、小出と香川勇気をペレイラと長沢駿に交代してシステムを4-4-2に変更する。右SBの井上、左SBの三竿雄斗が高い位置を取って、実質、エンリケとペレイラの“ブラジリアン2バック”状態で追撃態勢を取った。トレーニングで準備していた形だそうで、ペレイラの積極的な攻撃姿勢も、チームに勢いを加えた。

 

也真人、第2子誕生を自ら祝う殊勲の同点弾

風下からの反撃で、ボールをつなぐのはやはり難しい。井上のスピードに乗った突破でチャンスが芽生えそうな場面もあったが、決定機には至らない。
 
もどかしい時間が続きながらも、相手の間でボールを受けることが出来るようになると、ついに80分、同点ゴールが生まれた。ペレイラからのパスを受けたエンリケが三竿に託し、三竿がドリブルで相手を剥がしてクサビを入れると野村がワンタッチで下田へ。下田がゴール前に送ったクロスは福岡にクリアされたのだが、それが長沢に当たり長沢がすかさず左足を振る。それは福岡と上福元のブロックに遭ったが、そのこぼれ球を蹴り込んだのが町田だ。これもショートバウンドを上手く浮かさず押さえた右足ボレーだった。
 
試合翌日にクラブから発表があったが、この試合のキックオフ2分前の14時01分に、町田の第2子が誕生していた。チーム得点ランク首位の町田の今季7ゴール目に、ベンチもスタンドも沸騰する。
 
86分にはポヤトス監督も垣田を浜下瑛に、藤田譲瑠を鈴木徳真に交代して勝点3を取りに行く。バケンガのオーバーヘッドが枠の左に外れ、呉屋のクロスが長沢にわずかに合わずと互いに攻めあい守りあいながら、アディショナルタイム6分は尽きた。
 
1-1の痛み分け、だがアウェイで大きな勝点1でもあった。1時間遅れでキックオフした試合で湘南が横浜FCに勝利したため、徳島が17位へと転落。大分と残留圏の16位・湘南との勝点差は3となった。
 
チームは中3日で天皇杯準々決勝・磐田戦に挑む。そこから1週間後、J1第34節・アウェイ福岡戦。リーグ戦残り5試合、残留争いの行方はまだ見えない。

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