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試合レポート

疲労の色濃く、前節に続く逆転負け。勝つために出来ることはまだある

 

真っ向勝負で挑んだ試合、PKではあったが狙いどおりの流れから先制したものの、またも逆転負け。ビハインドになってからは敢えてバランスを崩し、度重なるカウンターに遭って傷口を広げた。修正を急ぎたい。

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果敢なるミラーゲームの真っ向勝負

3-4-2-1システムの広島に対し、今節の大分はミラーゲームで臨んだ。1トップの伊佐耕平が激しくチェイシングして相手のビルドアップを邪魔しにかかり、後ろがそれに続いた。立ち上がりの攻撃で見せたのは、後方からのポゼッション。これまで積み上げてきたものを駆使しての真っ向勝負に、アグレッシブなプレッシングをミックスして臨んだ。
 
相手も同様の戦法で、キックオフ直後から広島のスピーディーなパスワークに翻弄される場面が続いた。だが、先制したのは大分。香川勇気を起点に左サイドで細かくボールを動かして相手の間を縫いながらエリア内まで進入すると、藤本一輝のパスを受けた下田北斗をエゼキエウがたまらず倒してPKに。キッカーは野村直輝。若き守護神・大迫敬介の逆を突いて、9分、ネットを揺らした。
 
その後も相手陣へと攻め込む場面は作ったが、広島はその背後を突いてくる。12分には逆サイドからのクロスに東峻希がダイレクトで合わせ、そのシュートがファーポストを叩いて幸運にも真上に上がったところを、高木駿が回収してピンチを脱した。
 
追いつかれたのは27分。土肥航大の長いボールに東が抜け出しての折り返しを、滑り込んだエゼキエウが押し込む。一旦は副審がフラッグを上げたのだが、VARチェックの結果、香川の片足がわずかに残ってオンサイド判定。前節に続き、またも前半のうちにリードを振り出しに戻されてしまった。

 

疲労の色濃く、相手に上回られる

ミラーゲームの中で互いに立ち位置をずらし、そのミスマッチを利用してボールを動かしたい狙い。だが、広島のほうがポジショニングで先手を取り、主導権を握った。
 
パスやトラップの精度、そして予測やスプリントの面で両軍に差が感じられたのは、もちろん基礎技術の問題もあるかもしれないが、明らかに大分のほうが疲労の色が濃く見えた。この試合、広島にとっては3連戦(うち2戦がホームゲーム)の3戦目で、大分にとってはアウェイ3戦の5連戦(うち中2日が3回)の5戦目。決して厚くはない選手層でなんとかやりくりして戦っていたが、今節は小林成豪の姿が見えず、また前節、負傷で途中交代した町田也真人もメンバー外で、選択肢はさらに限られた。そんな状態でのタフなミラーゲーム。追いつかれてからはメンタルも影響してか、さらに勢いが落ちた。
 
青山敏弘、森島司、エゼキエウらが流動的に間を使いながらのスピーディーなパスワークの前に、守備が後手に回る。球際に行けば剥がされ、構えれば押し下げられる中で、エンリケ・トレヴィザンや三竿雄斗がクロスやクサビに体を張り、坂圭祐や香川が背後へのボールへと対応した。相手主導の立ち位置を強いられ、攻撃に切り替わっても立ち上がりのようにボールがつながらない。苦しい展開をしのぎながら、なんとか1-1で折り返した。

 

追加点献上でバランスを崩さざるを得ない状況に

片野坂知宏監督は後半頭から、連戦の疲労により走れずにいた増山朝陽に代えて松本怜を投入。その矢先の49分に、セットプレーから失点した。森島の左CKから荒木隼人のヘディングシュート。やや深く入ったボールにエンリケものけぞりながら寄せたのだが、エンリケより1cm高い荒木が競り勝った。高木が一度は弾いたボールはクロスバーに跳ね返り、高木の手に当たってゴールネットを揺らす。嫌な時間帯に逆転を許してしまった。
 
あきらめずに攻める大分は、スローインの流れからのこぼれ球を坂が狙って枠の上。ドリブルで持ち上がった藤本のマイナスのパスから放った下田のシュートは相手に当たって大迫敬介にキャッチされる。60分、右CKをセットしているタイミングで伊佐を呉屋大翔に交代。呉屋は早速そのCKで巧みな駆け引きを演じたが、低い弾道にニアで合わせたヘディングシュートは惜しくも枠の右に逸れた。
 
追撃に出る大分が前がかりになるところを見計らい、64分には城福浩監督がドウグラス・ヴィエイラをジュニオール・サントスにチェンジ。組織的プレーの光るドウグラスから独力プレーの得意なサントスへのシフトが、大分の背後を突くカウンターの発動に、見事にハマった。

 

追撃のため2トップにはしたものの…

1点を追う大分は70分、香川を梅崎司、藤本を長沢駿に代えると、長沢と呉屋の2トップの下に野村直輝を配置した3-5-2へとシステム変更。前線に高さと強さを増して、追撃態勢を取った。直後、野村のクロスは長沢の頭上を越える。
 
3分後には広島が、野上結貴を今津佑太、土肥をハイネルに2枚替えして強度を維持。76分、エゼキエウとサントスのパス交換から最後はサントスがシュートして広島3点目。
 
攻めるために敢えてバランスを崩す大分に対し、広島はその攻撃のミスを見逃さず、悠々とカウンターで攻め返す。80分には疲労した小林裕紀に代え、今節も上夷克典をボランチの一角に入れて対応を図ったが、82分、ハイネルの展開に抜け出した柏好文がドリブルで長い距離を持ち上がり、最後は落ち着いてゴール前のサントスへ。強烈な右足シュートは広島の4点目へと結実した。
 
87分には広島が、森島と東を浅野雄也と藤井智也に交代。時間を使われながらも大分も攻めるが、精度不足。アディショナルタイム4分の間にも意地を見せることは叶わず、試合は4-1で決着した。

 

勝点を取るために出来ることはまだある

前節に続く逆転負け。ビハインドになってから傷口を広げたのが痛かった。前半の距離感悪化に続いて気になったのは、長沢投入後の攻め方について。前節もそうだったが、2トップの高さや強さを生かしきれないまま時間が過ぎた。
 
松本は得意のクロスを供給し、梅崎も単騎突破とクロスを織り交ぜたが相手も構えており崩せず。終盤に上夷もゴール前へとボールを送ったが、坂や三竿らも含め、もっとシンプルに前線にボールを集めてもよかったのではないかと思う。長沢が競ったセカンドボールへに反応するための相方・呉屋もそばにいる。片野坂監督の指示を待つまでもなく、この流れでの長沢投入にそういう割り切った選択肢が有効であることを、チームとして共有していれば、終盤の追撃の勢いを醸すことも出来たはずだ。
 
藤本の組織的パフォーマンス向上など徐々に出てきた好材料も、遅すぎる熟成とはせずに結果に結びつけたい。
 
それにしても本当にタフな5連戦だった。アウェイで横浜FMに大敗してから中2日での、敵地での天皇杯・群馬戦。中2日でホームに戻ってかろうじて札幌に引き分けると、中3日でのホーム神戸戦でタレント軍団と対峙して疲労した。そこから中2日でのアウェイ広島でラスト。この間、雨あり激しい陽射しあり高温多湿の消耗戦あり、負傷者も続出、群馬にコロナ陽性者が出たことで直前まで試合開催が危ぶまれる事態発生など、アクシデントも多々あった。その中でチームは全力を尽くし、現状で出来るかぎりのことはやってきたと思う。
 
ただ、勝点を取るために出来ることはまだある。次節は9月11日、順位の近い湘南とのマッチアップだ。

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