躍動感は取り戻したが得点は奪えず。Bグループは3チームが勝点3で並んだ
グループステージ1巡目最後の試合は7連戦の2試合目。メンバーを入れ替えて臨んだチームは苦境打開を目指し躍動感あるプレーを見せたが、1点が遠く0-1で敗れた。
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2シャドーが積極的に前に出る守備
直近のリーグ柏戦から先発7人を入れ替えてのスタート。2種登録の屋敷優成が右シャドーに入り、ルヴァンカップ前節の徳島戦で得点した藤本一輝もそれ以来の出場となった。ベンチには宮崎産業経営大から来季加入が内定している特別指定選手の宇津元伸弥も控えた。
負傷者の多いFC東京もリーグ福岡戦から先発10人をチェンジし、ベンチにはルーキーや2種登録選手が多く並んだ。右SBにはアルトゥール・シルバをコンバート。リーグ戦は今季初の連敗中で、大分と同じく流れを断ち切りたい状況だ。
ハイプレスをかいくぐってサイドに起点を作る3-4-2-1の大分と、レアンドロを軸に力強く攻める4-3-3のFC東京。立ち上がりから互いにスタイルを体現して好機を築いた。2分、レアンドロの個人技からのシュートが枠の上に逸れれば、8分は藤本の粘りから高畑奎汰がシュートして波多野豪に掻き出される。最終ラインからゴール正面にまで攻め上がる場面はリーグ戦でもときどき三竿雄斗が作っているが、この高畑のシュートシーンのような形が作れたのはひさしぶり。この試合では左だけでなく右CBの小出悠太も頻繁に上がりを見せ、特に終盤はクロスやシュートを積極的に狙った。
最近は5-4のブロックで構えたままのことが多かった中で、目立ったのは屋敷と藤本の2シャドーの、構えた状態からのプレッシングだ。屋敷は27分に激しい寄せで相手からボールを奪うと、髙澤優也のシュートチャンスを演出する。藤本は個人技を織り交ぜながら果敢にアルトゥール・シルバの空けたスペースを突いた。
先制されて攻撃の難易度が高まった
その藤本がエリア内でトラップした際にハンド判定を受け、42分、FC東京がPKを獲得。連敗突入してからの悪い流れがこの試合でも続くのかと暗雲立ち込めたが、レアンドロの蹴った弾道は枠の右に逸れた。ポープ・ウィリアムは試合後に「こちらの狙いどおり外させたという感覚になれた」とその場面を振り返る。先に動いて蹴らせた駆け引きでの勝利だった。
大分は3本、FC東京は4本のシュートを放ちながら無得点で折り返したが、後半開始早々の50分、FC東京に先制点を奪われる。攻め上がったアルトゥール・シルバのクロスがファーへと流れたところを中村拓海が拾い、レアンドロがつないでボールは永井謙佑へ。ペナルティーエリア手前右側から右足を振り抜くと、威力のあるシュートは長谷川雄志の頭をかすめて軌道を変え、ゴール右隅へと突き刺さった。
前半の攻め合いを、長谷川健太監督は危うく捉えていたのだろうか。ハーフタイムに「中盤は攻守のバランスを考えてプレーしよう」と指示を出していた。片野坂知宏監督もバランスを崩して大味な展開になることを嫌う指揮官だ。この試合では2シャドーにも積極的にプレスに行かせたが、その際に生じるスペースもしっかりケアするように全体に指示を出しており、刀根亮輔のライン統率や小林裕紀の組み立てで展開をコントロールしていた。
リードしたFC東京は意識の軸足をそれまでよりも守備に寄せる。大分はボールを動かしながらスイッチの入れどころを探るが、相手の効率的にオーガナイズされた守備の前に、攻め込むことが難しくなった。
全力での追撃もFC東京の牙城は崩せず
67分、大分は屋敷に代えて伊佐耕平。伊佐が頂点に入り、髙澤が左シャドー、藤本が右シャドーへと持ち場を移した。FC東京は71分、アルトゥール・シルバを田川亨介へと交代し、田川を右WG、内田宅哉を右SBに配置する。さらに大分は77分、藤本に代えて町田也真人を投入。81分には長谷川を下田北斗にチェンジして、追撃態勢を強化した。
構えるFC東京をなんとかこじ開けようと、前線に枚数をかけての猛追。オフサイドにはなったが82分にはロングフィードにひっくり返され、田川との1対1になりかけてポープが体を張る場面もあった。小林裕がスライディングで戻りピンチを救った場面もある。ただ、リスクを負って攻める姿勢に、無得点試合の続く大分のサポーターも応援の勢いを強めた。
それでもFC東京が段階的に固める牙城は破れない。85分にはレアンドロに代えてこれがデビュー戦となる大森理生を入れ5バックに変更。90+4分には永井をベンチに下げ、負傷から復帰した品田愛斗を送り込み、大分の追撃を退けた。
最後まで迫力を醸し出したチームからは、なんとしてもこの長いトンネルを抜けたい思いが感じられたが、結果はこの試合でも得点できず。これで公式戦5戦連続無得点となった。
ただ、FC東京のスタイルとの相性もあるだろうが、ひさしぶりに積極的に奪いに行く守備や後方からの攻撃参加など、好調だった頃のチームの姿の片鱗が多々見られたのは好材料だ。リーグ戦で出場機会の少なかったメンバーが躍動したことも今後につながると期待したい。
ここから中3日で厳しいアウェイ浦和戦。徳島時代に相性の悪かったリカルド・ロドリゲス監督が浦和に移って初の対戦となる。とにかく得点が欲しい。チームはすぐに準備に取り掛かる。