今季リーグ戦ラストアウェイ。目の前の一戦に集中して会心の勝利を
すでに21位以下が確定しているJ2屈指の難敵・金沢との一戦。互いにさまざまな要素が絡み合うシーズン最終盤だが、目の前の一戦での勝利を目指すことは、どんなときも同じだ。
シンプルに勝利を目指すのみ
いよいよ今季リーグ戦も残すところ2試合。今節はアウェイ戦のラストとなる。長距離移動を伴う敵地の多いJ2にあって、金沢も遠い。例年であればこの時期の北陸はひんやりとした空気に包まれるはずだが、今年はいまだに夏日が続いており、この3連休の週末も最高気温は25度前後を記録する予報だ。
J1昇格プレーオフ圏内争いも佳境で、徐々にその大まかな輪郭が定まりつつある中、大分の置かれた立場は決して楽観視できるものではない。前節の勝利によって群馬と岡山を上回り、勝点58で9位に浮上したが、6位・甲府、7位・山形とは勝点3差。大分が残り2勝してもライバルチームの結果次第では6位以内に届かない“他力本願”状態だ。加えて金沢戦前日の3日に開催される甲府対熊本の一戦で甲府が勝点3を積むと得失点差の開きから状況はより厳しくなる。
一方、金沢はすでに21位以下が確定しているが、ラスト2連勝すれば大宮の結果次第で最下位脱出も見込める状況で、J2ライセンス不交付となったFC大阪の結果次第ではJ3降格を免れる可能性もある。今節の大分戦、最終節の岡山戦は最後の意地を見せたいホーム連戦だ。
そういうさまざまな要素の絡み合うシチュエーションだが、シンプルに勝利を目指すという点では両軍ともに同じ。下平隆宏監督は「われわれに出来ることは自分たちが勝利することだけ。フットボールに集中させる」と“人事を尽くして天命を待つ”構えで、これまでと同様に目の前の試合に勝つことを目指し、粛々と対金沢戦術を落とし込んだ。香川勇気も「長いようで短いサッカー人生の中で、この一試合をどう捉えるかということになってくる。しっかりと目の前の試合を戦うことが、自分にとっていいことに繋がると思う。どんな結果であれその試合に向かうという部分では変わらない」と落ち着いて話す。
攻撃は決定力、守備はコミュニケーション
特徴的なマンツーマンディフェンスと巧みなコンビネーションでの攻撃でJ2でも屈指の難敵・金沢に対して試合を優位に運べるか否かは、前節からCBで起用されるこの香川が大きなカギを握りそうだ。人についてくる相手の守備をここで一枚剥がすことでボールを繋いで運ぶ流れを生みたい。全員が呼吸を合わせてタイミングよく連動すれば好機は築ける。
前々節の栃木戦ではシュート13本にCK12本、FK13本。前節の秋田戦ではシュート16本にCK8本、直接FK17本。これだけ多くのチャンスを作りながら相手の堅守に阻まれたりプレー精度を欠いたりしてなかなか複数得点を奪えていないことが課題で、最後の精度に関しては当事者の奮起を促したいところ。2日の居残り練習では指揮官自らがクロスの指導にあたった。
練習中に負傷者が出て一部メンバーが変更になるが、選手たちは「誰が出ても互いに特長は理解しているし影響なくプレーできる」と話す。フォーメーションや戦い方が複数回変遷したことでチームとしての積み上げが見えづらいシーズンにはなったが、その中でも培ったものが確実にある。それをどれだけ発揮できるかがシーズン最終盤の自分たちのプライドでもある。
前節の劇的勝利の興奮醒めやらぬまま、快晴となった1日のグラウンドには通常より多くのファンやサポーターが見学に訪れ、練習後のファンサービスでは監督や選手たちと楽しく触れ合うひとときを過ごした。多くの人たちに支えられ応援されていることをあらためて胸に刻み、チームは会心の白星を掴みに行く。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
難しい状況ではあるが、僕たちが目指すのはただ勝つことだけ。シンプルにフットボールに集中するようにしたい。金沢はどの選手が出場するかわからないが、サッカースタイルは変わらず貫いてくると思う。マンツーマンディフェンスの相手なので難しくなるところもあるが、攻撃的に挑みたい。金沢はボールを持ったら上手く、アタッカーのコンビネーションなどは質が高いので、それをいかに抑えるかも重要になる。
■MF 28 野嶽惇也
金沢はマンツーマンディフェンスが特徴的だが、前節の秋田も、こちらが押し込んでからはマンツーマン気味についてくる感じだったので、そのイメージも残しつつプレーできればいいかなと思う。ここ何試合かと同様に、90分間を通して試合中のコミュニケーションが大事になる。特に金沢はちょっとした隙で得点まで持っていく能力が高いので、こちらがボールを持てている感覚があったとしても、リスク管理は継続しておかなくてはならない。
金沢の攻撃は縦にゴールに向かってくる。2人、3人でゴールに持っていく力があるので気をつけなくてはならない。あとはここ数試合で出来ている部分、ボールを握って動かしゴールに迫るところを継続して優位に試合を進めたい。チャンスは作れている中で、その質を高めつつ、なおかつ最後の精度も高めていくことが大事。相手陣深くまで行けば行くほど相手も嫌がると思うし、相手のカウンターチャンスも削れる。攻め急がず大胆にやりたい。