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今節の見どころ

タフな展開は必至。強力な戦力を擁し手堅く戦ってくる岡山との対峙

 

大分は高木駿、岡山は佐野航大と、ともにかけがえのない選手がチームを去ってのマッチアップ。新戦力を含め残された選手の奮起がカギを握る。

 

前節の勝利の立役者が電撃移籍という試練

前節の藤枝戦は4試合ぶりの勝利。ホームでは5試合ぶりで、クリーンシートは岡山との前回対戦だった第21節から9試合ぶりだった。
 
藤枝の激しいプレスをいなしながら、本来チームが目指すポゼッションスタイルを体現し、1点にはとどまったが、高畑奎汰のクロスに長沢駿が潰れた背後で鮎川峻が移籍後初ゴールで仕留めるという、これもチームが最も得意とするべき形での得点。守備ではペレイラが復帰し、羽田健人が統率。中川寛斗の負傷交代は残念だが、交代した町田也真人が45分間プレー。ひさびさの出場や待望の復帰を遂げたメンバーの活躍が光る試合だった。
 
ただ、チームはその後、大きく揺れることになる。藤枝戦に16試合ぶりに出場し、守護神ながら攻撃の要を務めた高木駿が、札幌へと電撃移籍。藤枝戦翌日の日曜にオファーが届き、月曜夜に本人の意志が固まって、火曜の夜にクラブ間合意に至るというスピード展開だった。「戦術的なことだけでなくチームのムードメーカーとしても放出は大痛手。ただのいち選手ではなく、金額では計れない」と下平隆宏監督も嘆いたが、なによりも高木の意志を尊重し、これを西川幸之介を成長させるチャンスと前向きに捉えて、現実を受け入れた。
 
高木の復帰で野村直輝にかかる負荷も少しは軽減されるかと思った矢先の移籍だが、町田に続きキャプテン梅崎司の復帰も近く、渡邉新太も好調そう。ここに野嶽惇也が復帰すれば、野村もだいぶ動きやすくなるはずだ。
 

佐野が抜けた岡山がどう変化するか

ホームでの前回対戦では1-0で勝利したものの、岡山は難しさ屈指の相手。木山隆之監督のことを「粘り強く守備をするチームを作る」と下平監督も話すとおり、毎回、その攻略には手を焼くことになる。ここまで失点数は32で、現在8勝15分7敗の勝点39で10位。岡山伝統のハードワークに、策士かつ手持ちの強力な駒を大胆に生かす敵将が加わって、その引き分け試合数の多さからもダークホース感がつきまとう。
 
19歳にして主力としてチームを牽引してきた佐野航大のオランダ1部・NECナイメヘンへの移籍は大きな出来事だが、千葉から期限付き移籍で加入した末吉累が、前節の大宮戦でアシスト。かけがえのない選手の旅立ちのあと、残された選手たちがどれだけ奮起できるかという点では、岡山も大分も同じ境遇にある。岡山の負傷者の回復具合も気になるところだ。
 
現在3試合未勝利の岡山としては、なんとしてもホームで白星を挙げたいはず。だが、こちらもJ1昇格レースに食い下がっていくために、勝ち続けていくしかない。「来季J1で会いましょう」と最後にメッセージを送り、岡山に出発するチームバスを、雨のなか大旗を振りながら見送ってくれた高木を安心させるためにも、今節のチームが臨む試合は、特別な意味を持つ。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
木山監督はいつも粘り強く守備の出来るチームを作ってくるので、そこを攻略するのは大変になる。全員でハードワークするし、難しい相手。なんにでも対応できるよう準備をしておくことが大事。自分たちがやるべきことをしっかりやる。怪我人が少しずつ戻ってきているのはチームとしては大きい。
 
高木がいなくなって、高木にしか出来ないビルドアップの形はもう出来ない。ビルドアップ部分を変えながら大分のスタイルを継続していくことになる。西川は高木のプレーを見て学んでいる部分もあるだろうし、成長していかなくてはならない。「出来ないからやらせない」ではなく「やれるようにさせる」のが選手育成。ただ、西川の長所に合わせた仕組みは考えていくことになる。戦術的アレンジと西川・新井の成長、テイシェイラの未知数に期待していく。
 
■MF 8 町田也真人
 
前節、負傷から復帰したが、コンディションはもうちょっと。なかなか勝てておらず苦しい時期が続いていたので、もう一回、自分たちがどういうサッカーをしたいのか、どうやって勝っていくのかを整理しなくてはならないと思っていた。気持ちの部分で、シーズンのよかった時期の気持ちをチームに出させるようなことを、自分が復帰したらやりたいと思ってきた。
 
ここで引き締めなくてはならないとか、いまは失点してはいけない時間帯だとか、前半を0-0で終わっているのに最後に失点してしまったりとか、そういったときにチームを引き締める部分や、飲水後などは、みんなも意識してやっていると思うが、そういう部分がやはり少ないなと思っていた。前節は後半、ピッチに立って、そういうところも含めて周囲に声をかけるようにしていた。
 
ここからは一試合の重みがさらに増してくる時期になるので、「このチームを勝たせたい」とか「このチームで昇格したい」という気持ちがすごく大事になってくると思っている。気持ちの部分で相手を上回れば、うちは上手い選手が多いので、融合して出来るのではないか。
 
高木駿は本当によくやってくれたと思うし、軽い言葉では言えないが彼がやってきたことがこうやって評価されたのはシンプルにうれしい思いもある。僕は僕自身でやれることをやりたいと思うが、彼にしか出来ないこともあったと思う。ただ、自分の中ではもっとやっていかなくてはならないなと、より強く思った。あいつの思いも背負って、J1で来季会えるように、残りの試合で僕ももっと声を出して、チームを盛り上げていきたい。

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